てみるファーム

茯苓栽培国産化プロジェクト VOL.1

 2010年2月、社会福祉法人はるにれの里の有志を中心として、石狩市厚田区での農業を通じ、障がい者の一般就労の拡充を図かるため設立されました。当初は、はるにれの里の「ふれあいきのこ村」で行われている椎茸の栽培協力と野菜の直売所の運営などを中心に事業構想を検討していましたが、生薬メーカーより、生薬の試験栽培のお話をいただき、3haの畑での生薬栽培が始まりました。2014年7月より、とれたってマルシェの利用者の中から障がい者従業員の雇用を開始しています。

株式会社てみるファーム 代表取締役
池田 秀敏

 生薬の栽培、加工、選別作業は、ノルマが比較的柔軟に設定でき、発達障がい者の特性に合わせて作業を進めることができます。現在てみるファームでは、1名の雇用者と、10名前後のメンバーが、とれたってマルシェからの「施設外就労」として働いています。ブクリョウ栽培は、これまで中国等で行われて来た「原木による露地栽培」が主流でした。現在弊社で行っている方法は、従来に比べ、大幅に作業労力が軽減され、障がい者や高齢者でも、作業が可能になりました。てみるファームが、農業としての薬草栽培で自立を果たし、多くの人を雇える場になることを目指しています。今後の取り組みですが、石狩市生振(おやふる)に、新拠点として、ブクリョウ専用の研究施設を準備中です。ここで栽培環境の最適化や、収量の増加を研究していきます。新規就農者や近隣農家の参画を図るため、コスト分析や経営面積に応じた経営モデルも作成中です。
 これらの取り組みが、「農業と福祉の連携」として、しっかり育ち、てみるファームが、農業としての薬草栽培での自立を果たし、多くの人を雇える場になれればと思っています。

事業推進体制

 てみるファームを中心に、石狩市とはるにれの里の協力の下、下記の運営体制で事業を遂行します。将来的には、近隣農業者と協力しながら、事業を拡大しつつ、他地域への展開も可能なモデルプランを確立し、農福連携による障がい者の雇用拡大と地域の発展に寄与していきます。

はるにれの里

重度自閉症および重度知的障がいをはじめとした発達障がい児・者のニーズに特化した多様な機能をもつ事業運営を行っています。

ブクリョウとは?

 茯苓(ブクリョウ)とはサルノコシカケ科のキノコの一種で、その菌糸が固まってできた塊り(菌核)です。森林の中の松(アカマツとクロマツ)の根に寄生するもので形はキクイモに似ています。割ると中身は白く、これを乾燥して生薬として仕上げます。
 効能としては強壮、利尿、鎮静作用があります。漢方では八味地黄丸、五苓散、桂枝茯苓丸、加味逍遥散など幅広く利用されています。
 国内では人工栽培による生産は難しいと言われてきましたが、てみるファームでは株式会社ツムラとの連携で生産の体制を整え事業化していきます。

特 性

尿細管の再吸収を抑制するための利尿作用が高く、ミネラル類(Na、K、CIなど)の排出量が増加します。健脾(けんひ)、滋養、鎮静、血糖降下などに効果があります。

事業概要

 今後、栽培研究から取り組みを一歩前に進め、国外産にコスト的に負けないブクリョウの生産体制の確立を目指し、実生産規模での試験栽培に取り組む予定です。実施場所は石狩市生振地区で、将来的にも近郊農家の方と連携し、栽培ハウスの増設に適した立地と考えています。実施内容は、国内におけるブクリョウの安定生産を実現させるための栽培技術の改良などに取り組んでいきます。
 事業の遂行にあたって、株式会社ツムラから技術的なご支援のほか、社会福祉法人はるにれの里とも連携をしていきます。また、石狩市からは「石狩市まち・ひと・しごと創生総合戦略」にて、地域資源を活用した新産業の創出プログラムとして、この事業を取り上げていただいたほか、地方創生先行型交付金事業では「漢方生薬生産体制確立事業」として採択され、製造備品の購入だけでなく、研究支援や調査業務にもご支援をいただきました。今後も各機関と連携を取り、ブクリョウの生産体制の確立を目指します。

お問い合わせ

株式会社てみるファーム 〒061-3331 石狩市厚田区聚富488-1
TEL/0133-66-3630 FAX/0133-76-6108
メールアドレス/info@temiru.co.jp
てみるファーム 生振サテライト 〒061-3245 石狩市生振692-2